エンリケ

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「おい、トシ! 一緒に帰ろうぜ」

「……ごめん。今日はちょっと外せない用事があるんだ」

 クラスメイトの誘いを断ると僕は教室を出た。

あの連続殺人事件から一ヶ月が経とうとしている。

 警察の捜査では何故か犯人が捕まったことになっており……校舎も急ピッチで復旧が行われている。

無気味な事件は、終わりを告げたのだ。

 階段を下り、靴箱から靴を取り……ちょっと眉をひそめた。

 三桜さんの靴が、靴箱にもう無かったから。多分、一足先に世良さんの探偵事務所に行っているんだろう。

 外に出ると、夏草の香りがグラウンドから漂ってきて、その暑さと共に初夏の到来を告げている。燦々と輝く太陽を手で遮り、僕はまぶしさのあまり顔をしかめる。

 万人に平等に降り注ぐこの希望の光は、あいつに届いているのだろうか?

「届いているさ……きっと」

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