エリア164
デカイ窓から見えるのは二十七階からの景色。赤く染まった建物のいくつかは気の早いことにネオンを灯し始めている。
「イヤァ、ホントに探偵サンは有能ダネ」
せっかくの絶景を見て悦に入っていたが……眼前のクソガキ相手にムナクソ悪くなるのを自覚しつつ、俺は何とか切り返した。
「……オレと会うのは冴羽だろ」
「ウン、そうなんだケド、探偵サンほど感情の起伏が激しいヒトってそういないカラ。見てて楽しいんダヨ」
オレはテメェを満足させるために怒ってんじゃねえ!
今、正に、その言葉が口から迸りそうになったが、俺はどうにかその口上を押さえ込んだ。ビー・クール、ビー・クール……
クソガキはソファに座り、下から面白そうな目付きでこちらを見つめているが……
「冷静に、冷静に、か。似合わない言葉ダネ」
……るせえ。表情から考えていることを探るんじゃねえ。
「用件は済んだ。俺は帰るぞ」