ビークール
背を向け、大股で帰ろうとするクソガキが声をかけた。
「チョット待ってヨ。ミサクラさんはどうしてるのカナ?」
俺は逐一、三桜の様子をこのクソガキに報告する義務がある。彼女は吸血鬼だからな、様子を報告する代わりに血液パックだの、親父さんの単身赴任先だのを世話させちゃいるが……スゲェ気に喰わねえ……クソ。
あれから三桜が血を求めて街を徘徊することは無い、少なくとも今までは。三桜の話ではあいつが例の力を使って、吸血鬼の『本能』を叩き出したから、自分の『意思』を取り戻せたとか言っているが……
「変わりねえよ。ちゃんと血液パックは届けろよ」
それだけ言うと、俺は今度こそ帰ろうと、
「で、例の悪魔を宿した彼はどうしてル?」
……それには答えず、俺は無言のまま部屋を出た。