ィ169
耳元で私は願いを込めて囁き、その子ども達が見えるように、車椅子を動かした。
精神世界で幸一が私達を脱出させた時、一瞬だけ眼があった。
『必ず戻る。待っててくれ』
幸一は、そう言った。
私は、待っている、と叫んだ、約束した。
幸一は、必ず戻ってくる……
……戻ってくる……
私は、笑って幸一を待つ。
だって……私が泣いたら幸一が困る。
苦しみも、悲しみも。
楽しさも、喜びも。
分かち合うって、言った。
なのに、泣いて悲しんでばかりいたら、幸一が困る。
だから、私は泣かない。
笑顔で、幸一を待ち続ける。
たとえ、どれだけ時間がかかっても。
私は……瞼を手で擦り、ことさら元気良く幸一に言った。
「じゃあ、そろそろ帰ろうか。風邪ひいたら大変だしね」
車椅子を押し始め……公園で遊び続ける子供達をもう一度見つめた。
夕焼けが、彼等を照らしている。
血のように赤いのに、それは不思議と安らぎを与えてくれる。
この安らぎが、美しさが……
幸一にも届くように……
……私は強く、強く、祈った。